「アルトリ岬」から有珠山を一望!室蘭本線・有珠駅とは?

室蘭本線の有珠駅を紹介します。有珠山に近づき続けた室蘭本線は、有珠山のふもとにある「有珠駅」で停車します。有珠駅から少し離れた「アルトリ岬」からは、有珠山の姿をしっかりと見渡すことが可能です。

ついに有珠山のおひざ元へと到達!青い空と雄大な山の姿を楽しもう

室蘭本線は長和駅を過ぎ、ついに有珠山のふもとまでたどり着くこととなります。幾多の噴火を繰り返している有珠山は、自然の驚異と大きさを感じさせる存在だと言えるでしょう。

有珠山は、最も大きい「大有珠」の標高でも737メートルなので、高さ自体はそれほどありません。しかし、複数回の噴火によって周辺には数多くの有珠山を源とする山々がそびえています。

関連する山として最も有名なのが「昭和新山」です。戦時中の1944年から1945年にかけての火山活動によって隆起した部分が、そのまま山となったものとなっています。有珠山も昭和新山も活火山であり、現在でも常に火山活動の監視が続けられています。

雄大な姿を私たちに見せてくれる有珠山。30年程度の周期で噴火すると考えられており、次回の噴火は2030年以降と考えられています。

肝心の有珠山はほとんど見えない!有珠駅とは?

室蘭本線の36個目の駅である有珠駅は、伊達市の北端に位置しています。有珠山のふもとにあり、登山客なども利用することがある駅です。小ぢんまりとした山小屋風の建物は、おしゃれでモダンな印象です。

有珠駅を訪れた方は、当然ながら有珠山の姿を間近で見たいと考えていることでしょう。しかし、なんと有珠駅のホームからは有珠山の姿がほとんど見られません。有珠山はホームの後ろ側にある小高い丘によって完全に隠されてしまっており、有珠駅から見ることのできる山は豊浦町にある「小花井山」という山だけです。有珠山目当てで有珠駅を訪れようと考えている方は、気をつけておいた方が良いでしょう。

有珠駅外観。小さな山小屋のような建物で、白を基調としたモダンなデザインが印象的です。

自転車が何台か停められており、少ないながらも地元の方も利用する駅となっています。

駅周辺には古びた建物がいくつか建っているだけです。目の前の交差点は、国道37号線のものです。

駅構内は非常に簡易的なベンチのある待合室だけという、シンプルな構成となっています。

時刻表。伊達市内の他の無人駅と同様、やはり近距離の普通列車がメインです。

ホームの様子。跨線橋はなく、やはり踏切で反対側に渡ります。

反対側のホームには階段でなくスロープで上がります。

反対側のホームから望む、長万部方向の線路。

反対側のホームは室蘭本線の中でも最も簡素なつくりです。コンクリートの上に砂や砂利を盛っただけのような、チープさすら感じるものとなっています。

有珠山の姿を完全に遮ってしまっている小高い丘。この丘の向こうに、有珠山の山影があるはずです。

ホームから望む小花井山。駅から有珠山の姿はほぼ見ることができません。なぜこのようなつくりの駅になってしまったのでしょうか。

有珠駅周辺スポット:アルトリ岬

有珠駅から有珠山の姿を見ようと思ったのにもかかわらず、実際には小花井山しか見ることができなかったとがっかりしている方は、徒歩約25分ほどかけて「アルトリ岬」までアクセスしてみてはいかがでしょうか。

小高い丘になっているアルトリ岬からは、有珠山をはじめ、入り組んだ形をしている有珠湾、そして広大な内浦湾などを一望することができます。また岬の近くからは稀府岳やカムイヌプリなどの山々の姿も一望でき、有珠山周辺の景観スポットをほとんど網羅することができるのです。

高台ということもあり、天気の良い日には心地よい風が吹きます。澄んだ空気を存分に感じられる場所でもあるので、有珠駅でがっかりしてしまった方は、ぜひともアルトリ岬まで足を延ばしてみましょう。

アルトリ岬に向かう途中でも、有珠山の姿を見ることはできます。

こちらは稀府岳とカムイヌプリです。右側に伸びている陸地は、室蘭市の地球岬です。

稀府岳などが見える場所は砂浜になっています。この周辺一帯は「有珠海水浴場」となっており、海水浴客も数多く訪れます。

小高い丘の上にあるアルトリ岬。周辺は「アルトリ岬キャンプ場」になっており、夏場はキャンプも楽しめます。

アルトリ岬の解説パネル。

有珠山の全景は、このアルトリ岬から一望することが可能です。

有珠山と関連する山々、そして内浦湾と有珠湾を、1枚のファインダーに収めることができます。

反対側には内浦湾も広がります。遠くに見えるのは、渡島半島の一部分です。長万部町は、ちょうどあのあたりに位置しています。

有珠駅のまとめ

有珠駅のホームからは、有珠山を見ることはできません。そのため、予備知識なしで訪れた方にとっては、非常にがっかりしてしまう駅となってしまうことでしょう。しかし、小ぢんまりとしていながらもモダンな駅舎や、ホームから見える小花井山など、有珠駅自体にも様々な見どころがあります。また、駅の近くにある「アルトリ岬」からは有珠山をはじめとした素晴らしい景観を望むことができるので、ぜひ少しだけ足を延ばして、自分の目で確かめてみてください。
室蘭本線は有珠山を過ぎ、有珠山に隣接する洞爺湖方面へと進んでいきます。次回は、洞爺湖のおひざ元にある「洞爺駅」まで、ゆっくりと進んでみることにしましょう。

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むらはし

むらはし

北海道の鉄道に魅せられた平成世代。北海道に数多くある秘境駅、廃線間近の路線などを巡り、その素晴らしさを伝えたいと思っています。

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