室蘭本線の日本一の秘境駅・小幌駅へ行ってみよう!後編

室蘭本線の小幌駅を紹介します。前編に続いて山奥の道を下り続けて約1時間、道なき道を進み続けて見たものは、簡素な駅のホームでした。日本一の秘境駅に、決死の覚悟で参ります。

危険な目に遭いたくなければ、夏場の晴れた日に小幌駅を訪れよう!

前回の記事で、小幌駅がいかにたどり着くことが難しいか、そして一歩間違えば遭難する危険性すらはらんでいるということはよく分かっていただけたと思います。実際に、子供さんや高齢者の方は、自力で駅までたどり着くことは非常に困難だと言えるでしょう。

しかし今回は冬山だったためにこれほど難易度が上がってしまったという部分も大きく、夏場の晴れた日であれば足元もしっかりしているため、ここまでの難易度ではないと言えます。ただ、それなりに山歩きをする格好をし、心を折らずに覚悟を決めて挑まなければいけないことには変わりません。

では、再度スタート地点に戻った筆者のアタックをご覧ください。

14:30、再度アタック開始

スタート地点に戻って最初のフェイクの分岐点で左を選択した筆者は、ある程度整備された林道を快適に歩いていきました。10分ほど歩いて分岐点に出くわしたため、右のルートを選んで進んでいきます。

このように、高台からスタート地点の小道が見えるルートを選んでいれば正解です。

林の中を、快調に進んでいきます。

遠くに、内浦湾の素晴らしい眺めを望むことができます。

この看板に小さく書いてあるとおり、小幌駅までは約2.2キロあります。スムーズに行っても40分以上かかることは計算しておきましょう。

徒歩10分程度進んだ先にある、本物の分岐点です。ここで右を選択し、山を下っていくルートを進みます。

正規ルートでも山を下るのは一苦労!

分岐点を右に行き、山を下っていくルートに入ります。特に冬場など道が滑りやすい場合には、正規ルートであってもかなり険しいアタックをしなければなりません。

下り坂を進むと、ダムのような建造物が見えます。

ダムはかなりの落差があるため、勢い余って落ちないように注意しましょう。

獣道のような道なき道を進み、山を下りていきます。

下りに入ってから約15分、海が見え、思わず歓喜の声を上げてしまいました。

現代のリアル・サンクチュアリ、小幌海水浴場と岩屋観音

下り坂を進んだ先にあるのは、澄み切った透明感あふれる海の水面と、大きな岩の間にある「岩屋観音」です。人が訪れることがごく稀なこの場所は、まさに現代のリアル・サンクチュアリだと言えるでしょう。

小幌海水浴場の眺め。苦労してやってきた後には、より清々しく感じられるでしょう。

澄み切った水面は、北海道のどの場所でも見られないほどのものです。

巨大な岩の間に、鳥居が立っているのが分かります。

ここが現代の聖域、岩屋観音です。

洞窟内は暗く、内部には小さな鳥居と観音像がいくつかあるのみです。

人が来たのでしょうか。ワンカップが供えられていました。

海を望む形で、無人の民家が建っています。

一旦来た道を戻って、いよいよ小幌駅へ!

岩屋観音を見た後は、一旦来た道を戻る必要があります。ここから小幌駅までは、ロープを伝って急な斜面を登っていく必要があります。一歩間違えて滑落してしまうと、最悪の場合は命に係わる可能性もありますので、慎重に登っていきましょう。

この細長い板の部分の傍に、小幌駅へ続く山道があります。

山道には目印の細いロープが張ってあるため、その道を登ります。

少し登っただけで、海はかなり下の方に見えるようになります。

このように、備え付けられたロープを伝って登ります。滑り落ちないよう注意が必要です。

ロープを伝って山を登りきると、今度は下り坂が続きます。気温は4度にもかかわらず汗だくです。

下り坂を進んでいくと、何やら駅のようなものが見えてきます。ついに、ゴールにたどり着くことができたのです!

15:35、ついに小幌駅に到着!

再スタートから約1時間、ついに筆者は日本一の秘境駅・小幌駅の姿を拝むことができました。小幌駅は、見事に山と山の間に位置する駅であり、両側を険しい山岳が囲んでいる場所でした。

小幌駅は吹きさらしのホームが対面で位置しているだけの、なんとも寂寥感にあふれた駅です。しかしその寂しさが、ここまでたどり着くまでの疲れを静かに癒してくれるような気もして、筆者は30分ほどこの場所にとどまっていました。

小幌駅のホーム近くには、2006年まで20年以上にわたって「小幌の仙人」「小幌太郎」などと呼ばれた老人が住んでいました。彼は2007年に病気の悪化でこの場所を離れてしまい、その後は周囲から完全に人の気配が消え去ってしまいました。

小幌駅全景。駅の規模自体はかなり大きなものとなっています。

駅の前には、保線所の倉庫が建っています。

小幌駅のホーム。文字通り山あいの中にあるため、両サイドは巨大なトンネルで挟まれています。

時刻表。上下線とも4本ずつの運行であり、ほとんどの列車は通過してしまいます。

2本の線路の間も広く取られており、規模は相当大きな駅です。

口を開ける巨大なトンネルには、少し恐怖感すら覚えます。

対面のホームの様子。

これを見るために、遭難しかけながら約2時間を費やしたのです。

駅舎はないため、駅ノートがこのような入れ物に入っています。

巨大な切符。記念撮影用です。

このような本も入っていました。内容はいたって健全で、北海道の案内が書かれています。

駅ノートはこの中に入っています。2016年11月時点では8冊目です。有志の方がノートを定期的に入れ替えているようです。

やはり日本一の秘境駅。全国から訪問者がやってきています。

と、ここで警笛が鳴り、目の前を猛スピードで特急列車が通過していきました。かなり近い距離を通過するため、十分に後ろに下がらなければ危ないでしょう。

間もなく、向こう側も特急列車が通過していきました。

トンネル内の様子。列車通過後のため、かなり暖かい風を感じました。

滞在時間は30分ほどでした。小幌駅を見て、たどり着くまでの疲労感が心地よいものになったことは事実です。

小幌駅のまとめ

こうして筆者は、無事小幌駅を写真に収めることができ、帰りは行きほど手こずらずに、それでも40分以上かけて戻ってくることができました。全行程を終えたのは、16:40ごろのことでした。(スタートは13:30ごろでした)

再度スタート地点に戻った際には、あたりは真っ暗になっていました。

小幌駅は、確かに日本一たどり着くことが難しい、キングオブ秘境駅でした。筆者のように最初に舐めてかかっているととんでもない目に遭うことも考えられますので、ぜひともこの記事を参考にして、事故なく怪我なく、道中の素晴らしい景観も楽しみながら、小幌駅を目指してみましょう。

室蘭本線の旅も、残すはあと2駅です。次回は山あいを脱した場所にある「静狩駅」を訪れてみましょう。

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むらはし

むらはし

北海道の鉄道に魅せられた平成世代。北海道に数多くある秘境駅、廃線間近の路線などを巡り、その素晴らしさを伝えたいと思っています。

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